思い出はあなたの中に
女とみればすぐに鼻の下を伸ばすマコトが、今はただじっと黙っている。

「何だよ?どうした?」

「あ、いや。オレ帰るわ。邪魔しちゃ悪いし…」

「は?何だよ。どうかしたのか?」

「いや、デートの邪魔しちゃ悪いから」

じゃあなとマコトは急ぐようにその場を跡にした。

「どうしたの?マコト君。調子悪そうだったね」

「…うん…そうだな。」

マコトが言いかけたことがオレは気になっていた。

オレにいわなきゃいけないこと?

いったい何なんだろうか。

「信治君?」

考え込んでいたオレはその声にハッと我に返った。

「なんでもないよ。行こう。」
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