思い出はあなたの中に
最後に愛を見たのは3日前の夕方だと父は言った。

なぜ3日も放っていたのか。

憤りを感じながらも私は父の家に向かった。

古びた木造の一軒家。

暗がりで見るとお化け屋敷のようなその風貌に懐かしさを覚えた。

離婚するまでは私もここに住んでいた。

愛と遊んだ庭は今では手入れされることもなく、雑草が生い茂っていた。

「瞳か」

暗がりから父の声が聞こえた。

「愛は?」

何も答えず父は首を振った。

「クラスの友人と裏山に行くと言っていた。」

「そのクラスメイトに連絡つかないの?」

「…知らない」
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