LOVE×LOVE×LOVE
「ここが体育館、です」
快く(?)案内してくれることになった彼女の後ろを付いていくと。
5分もかからずに、体育館に着いた。
………まじかよ。
俺、方向音痴じゃないはずなんだけどな。
『ありがとうございました。あ、先輩。名前なんて言うんですか?』
目の前の先輩に興味が湧いた。
「それより入学式、いいの?」
けれど、彼女は名前を名乗ることはなく、入学式に急ぐように促す。
そんなに時間が過ぎていたか、と思って時計を見ると。
・・・やばい。
これは、かなりやばい。
まさかの入学式開始3分前だった。
ここは彼女の名前を諦めて、体育館の入口に並んでいる1年に混ざらなければならない。
思わず、舌打ちをしたくなる。
「先輩!必ず、探し出しますから!」
俺はそう言い残して1年の列に入っていった。
入学早々、俺の意識は彼女へと向けられたのだった。