笑顔のしるし~SMILE☆STAR~
「はい。」

「え…??」


目の前に差し出されたあたしのプライベート用のケータイ。


「汰一さんにでも、連絡入れて?? “外泊します”って。」

「っ…そんな…!!」

「バラしてもいいのかな??」

「っ!!」


最低…!!!


「なんでっ…!!」


そこまで言いかけて、気付いた。

芳さんの目が、あまりに切なげで…。
まるで“行かないで”と言ってるようで。


あぁ…この人は、ただ、寂しいんだ。
誰かに愛されたいんだ。

別にそれはあたしじゃなくてもいいんだ。
運良く弱味を握れたのがあたしなんだ。


「…芳さん。」


それでも。
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