笑顔のしるし~SMILE☆STAR~
「心配するに決まってんだろ。」

「…はいはい、そういうのは他所でやってよね。 俺虹姫ちゃんに振られたばっかりだし。」

「…そりゃおあつらえ向きだ。」


そう言ってから、汰一はしっかりとあたしの手を握ると、得意気な顔をして笑って芳さんを見た。


「…返してもらうからな。」

「はいはい。」


いい加減呆れたように言うと、芳さんも愉快そうに笑った。


「確かに失恋はしたけど、それなりにいい思いはしちゃったしなぁ。」

「へっ、変な言い方しないでよっ。」

「あはははっ。」


そんな芳さんの笑い声を背に、芳さんのマンションを後にした。
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