たった一人の親友へ〜another story〜
再会
この日の夜


俺は中学時代の友達の和歌子に久々に連絡をとった


「久しぶりー」


中学の頃と何ら変わりないハスキーな声


一瞬中学時代に戻ったみたいで切なくなった


「今日さ四人で会わない?」


そんな提案をすると案の定和歌子は乗り気で


すぐにけんたとさなに連絡をとってくれた


「じゃぁ今日中学の裏庭で。」




三ヶ月振りの再会はすぐそこに迫っている


俺がいることは知らせないように、と和歌子に念を押し


俺は中学の思い出の場所へと向かった






今日の再会で最後にできる自信なんてこれっぽっちもない


だから今日会って


それを確かめたかった


俺は今


何を求めているのか


何を欲しているのか


さなが許してくれる確信なんて全くないけれど


だけど


会いたかった


本当はあの日から


ずっとさなの顔が見たかったんだ


プライドだって


見栄だって


全部捨てても


俺は今


さなに会いたかったんだよ
< 100 / 220 >

この作品をシェア

pagetop