たった一人の親友へ〜another story〜
行為が終わった後


ゆいを見ると涙で化粧は崩れて


ワイシャツのボタンはいくつか取れていた


強く掴んだ腕はうっすら青く痣になっていて




ただただ後悔しか生まれなかった


それなのにゆいは


「大丈夫だよ。」


なんて笑って


俺には優しく彼女を抱きしめることしかできなかったんだ




好きなのに


大事にしたいのに


守ってあげたいのに


俺はいつも空まわりばかりで


そんな自分に苛立って


いつもゆいにあたってしまう




ごめん、なんて誤るのも情けなくて


でも俺にはまだ理解できてなかった


この時どれだけゆいが傷ついていたか


これまでどれだけ陰で涙を流していたか



気付くには


まだ俺は幼すぎたんだよな
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