たった一人の親友へ〜another story〜
あれから一週間ほどたって


俺達の仲はいつも通りに戻っていた


そう俺は思っていた





「今日ちょっと用事があって一緒に帰れないや」


「おぉ。分かったー」


そんな普通の会話




その日の放課後


俺は地元の駅で男友達とゆいが二人で歩いているのを見た


ちょっとむかついたけど


たまたまそこで会ったのかな、なんて安易な考えしか浮かばなくて


次の日ゆいに何気なく聞いたんだ


“昨日駅で二人で歩いてただろ?”って




そしたら


ゆいは蒼白な顔をして


“うん”と


震える声で答えた


目は泳いでるし


明らかに焦っている彼女の姿を見て


俺はあの日


さなの家に隆也先輩がいた時のさなと


ゆいの様子を重ね合わせてた


だって全く同じだったから




全身の血が逆流していくのが分かった


許せないとか


最低だとかいう前に






ただただ


悲しかった

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