たった一人の親友へ〜another story〜
バイクを走らせながら


俺はさなと出会った頃のことを思い出していた


気づけば俺とさなが出会ってもう五年の月日がたっていて


俺はただたださなのことだけを見続けてきた


ちょっと目を離すと危なっかしくて


それでいて変なところで頑固で


でも本当は心に大きな傷を持っていた


守りたくて


守ってあげたくて


俺のだけのものにしたくて


日に日に大きくなっていく気持ちに


俺は戸惑いを隠せなかった


今まで誰かに興味を持ったことすらなかったのに


こんなにも誰かを欲したことは初めてで


苦しくて


辛くて


その重荷に耐えられなくなった俺は


彼女をたくさんたくさん傷つけてしまった


お互い好きだってことは十分わかってる


誰よりもお互いがお互いを必要としていて


無駄な遠回りをしていることも分かってる


だけど俺達は前に進まなかった


進めなかったんだ







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