たった一人の親友へ〜another story〜
三年になって


さなと俺はお互い忙しくて


今までのように簡単に会えなくなっていた


それでも毎日のメールと一週間に一度の電話は、いつの間にか日課になっていて


俺自身気付かない間に


それが一番の心の支えになっていた







三年生になって数か月


めずらしく母親から電話があった


もう何か月も会っていない母親は


電話越しにお母さんの一生のお願いよ、と泣きながら


一度実家に来てほしいとせがんだ


もちろん行く気なんてさらさらなかったし


行きたいとも思わなかった


実家に帰ったら嫌でもあいつの顔を見ることになる


思い出すだけで頭の線が切れそうだ




「ごめん。無理」


そう一言伝えて


俺は母親からの電話を切った








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