たった一人の親友へ〜another story〜
遠足の準備段階で


俺はわざとけんたと和歌子を二人きりにして(まぁけんたは嬉しそうだったけど)


さなと二人でいる機会を増やした


さなは前よりよく笑い


よく話した


俺はそれが何より嬉しくて


毎日毎日放課後が楽しみで仕方がなかった


いつの間にかさなは俺のことを翔と呼び


俺はさなと呼んだ


「なぁ、さな。
お前こんな遅くなって親、心配しねぇのー?」


「えー。別に」


さなは格別、家族の話しだけは避けていて


俺はその度に胸が痛くなって


さなに心を開いてもらいたい


さなのことを知りたい


日に日に強くなっていく気持ちに


一番とまどっているのは自分だった
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