たった一人の親友へ〜another story〜
「君が翔くん?」


まだ若そうな


でも一目で聡明だと分かる医者が目の前にいた


「はい・・・。」


「お母さんの状態を説明するから、別室に来てくれるかな?」


「はい・・・。」


「お父さんはどうしてるか分かるかな?

連絡がつかないんだ」


「いえ。分からないです。
すみません。」


もうすでに


俺の携帯には義父の電話番号も、メールアドレスも削除されていたし


彼がどこで何をしているかなんて興味すらもわかなかった


「そうか。
じゃぁ君に先に話すとしよう。」





医師の後を追いかけながら


まだ俺は夢の中にいるようだった


体がフワフワと浮いてる感じ


いっそ全て夢だったらよかったのに


全部全部何もかも


もう何もいらないから


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