たった一人の親友へ〜another story〜
真夜中の一時頃


義父がようやく病院にかけつけた


俺が義父の会社に電話をかけ


上司の連絡先を聞き


やっとのことで居場所を突き止めたからだ




「翔君・・・。
早苗は?」


義父の顔は蒼白で


急いで来たのか


いつもきちんと着ているスーツでさえ


今は乱れていた



「そこの部屋の中。
傷はあんまり深くなかったんだけど、出血量がひどかったみたい」


「それで?先生はなんて?」


「今日と明日が山場だって。」




義父は病室に入るなり


母の姿を見て倒れ込み


ワンワンと泣いた


あんなに動揺している義父を見るのは初めてで


義父がどれだけ母を


自分と同じように母を愛しているのか






ただただ


思い知らされた



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