たった一人の親友へ〜another story〜
二人の姿を見ていることがどうしても辛くて


俺はその日一度実家に帰った


何年ぶりかの実家


自分の部屋は数年前と何も変わらずそこに存在した





台所には母が作った夕食が並んでいる


俺の大好きなハンバーグ


きちんと三人分作られていた




ふとその横に白い封筒が置いてあるのが目に入った


封筒には“翔へ”の文字


手にべっとりと汗を握っている


おそるおそる震える手で封筒を開けた




そこには懐かしい


母の端整な文字が連ねられていた





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