たった一人の親友へ〜another story〜
翔へ


これで翔に手紙を書くのは何度目でしょうね

どうせ渡せるはずもないのに、それでもこうしてあなたに手紙を書いてしまっている自分がいます。




元気ですか?

ちゃんとご飯は食べていますか?

風邪はひいてない?

本当なら今すぐにでもあなたのところへ行って、母親らしいことをしてあげたいのに

そうできない私は母親失格ですね。


あなたは小さい時から、お母さんの自慢の子供でした。

頭がよくて、スポーツもできて

でもね、それと同時に

日に日にお父さんに似ていくあなたが怖かった

いつかは私の元を離れていくんだと

どんどん成長していくあなたを見ながら、そんなことに毎日おびえていたわ

あなたが小さい頃

お母さんあなたに言ったわね?

あなたの本当のお父さんは最低な人だと


ごめんなさい

そうじゃないの

お母さんは弱いから

あなたが離れてしまうのが怖かったから

そんな嘘をついたのよ

あなたのお父さんは

本当に本当に素敵な人で

私に愛をたくさんくれました

理由があってお母さんとお父さんは別れてしまったけど

私はあの人を

あなたのお父さんを憎んだりしてない

だって今でも感謝してる

私に翔というこの世でたった一つのプレゼントを用意してくれたから






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