たった一人の親友へ〜another story〜
私が今の人と再婚する時

翔は何も言わず私についてきてくれましたね

本当は嫌だったろうに

あなたは笑顔であの人を“お父さん”と呼んでくれた

今思えば

私は何も分かっていなかった

あなたの気持ちも

あなたの心の叫びも

何にも気づいてあげられなかった


ごめんなさい

謝ったってどうしようもないことは分かっているの

でも

私が母親じゃなかったら

違う家に生まれていたら

もっとあなたは幸せになれたはずだから

あなたみたいな本当に心の優しい子が

私の身勝手のせいで辛くて

苦しい思いをしているなんて

私は自分で自分が許せません


まだあなたが小さい頃

私に言った言葉を覚えていますか?

「ママのことは僕が一生守るから」

あの言葉を励みに

私は今までやってこれたの


何度もあなたに会いに行こうとした

事務所に何度足を運んだかも分からないくらい

でも

やっぱりあなたに会う勇気はなかった

拒否されてしまったら

もう二度と会えなくなってしまうんじゃないかって


翔は一人でどんどん強くなっていくのに

私は一人じゃ生きられない上に

どんどん弱くなっていくみたいで

本当にだめね、私
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