たった一人の親友へ〜another story〜
「じゃぁ母さん。
俺からも一つお願いがあるんだ。」


「ん?何?」


「今度俺の大事な友達に会ってよ。
俺まだ家に友達連れてきたことないからさ。」


「そうだったわね。
もちろん大歓迎よ。
その子の好きなお夕飯作って待ってるわね。」


「おぉ。
ありがと」


「どういたしまして」






「ねぇ。翔」


「ん?」


「今のお父さんのことなんだけどね。」


「・・・・うん」


「悪気があったわけじゃないのよ。
あの人ずっと悩んでたの。
あなたが心から笑ってくれないって。
だから・・・
なんていうか。」


「分かってるよ。
あの人がそんなに悪い人じゃないってこと。
俺にも原因があったし。
それでも俺はあの人のこと父親だとは思えない。
思ったことない。
だって事実として本当の父親じゃないじゃん。」


「翔・・・・。」


「って今までは思ってた。」


「え?」


「昨日さ、母さんが意識不明の時
あの人泣いてたんだ
母さんの姿見て。
早苗さん、僕が全部悪かったんだ、とか言って。
あぁ。この人母さんのこと本気で愛してるんだなぁ、って。
それがすごい伝わってきて。
なんか見てるこっちが泣けた。」


「翔・・・。」


「だからさ
今すぐは無理だけど
俺は俺なりに努力してみるよ。
だってあの人は俺のお父さんだから。」

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