たった一人の親友へ〜another story〜
その頃の俺は
ろくに家にも帰らず
義父の事務所に入りたびっていた
夜になると誰もいなくなるその場所は
俺にとって唯一の安心出来る場所で
そこで寝泊まりする俺を
父も母も責めることはなかった
時々事務所に夕飯を持ってくる母は
いつも帰り際に申し訳なさそうに俺を見て
必ずこう言うんだ
“翔。ごめんね”と
母は決して俺に帰ってこいとは言わず
どこかでそう言われることを望んでいた俺は
小さい頃に戻ったように
泣き出したくなるのを
ぐっと我慢していた
ろくに家にも帰らず
義父の事務所に入りたびっていた
夜になると誰もいなくなるその場所は
俺にとって唯一の安心出来る場所で
そこで寝泊まりする俺を
父も母も責めることはなかった
時々事務所に夕飯を持ってくる母は
いつも帰り際に申し訳なさそうに俺を見て
必ずこう言うんだ
“翔。ごめんね”と
母は決して俺に帰ってこいとは言わず
どこかでそう言われることを望んでいた俺は
小さい頃に戻ったように
泣き出したくなるのを
ぐっと我慢していた