たった一人の親友へ〜another story〜
受験という逃げ道は


俺にとって好都合なものだった


さなと離れるための


さなから離れるための


これ以上さなと一緒にいたら、気持ちをセーブできなくなる


俺の気持ちはさなを傷つけるから


重荷になるくらいなら、ただの親友として


ただの友達のラインでストップしていた方がましだ


「今日塾だから」


そう言って何度さなとの約束を破っただろう




好きってさ


単純なことじゃないよ


相手にとってその気持ちが負担になった瞬間


それはただの自己満足に変わる


それが俺にはどうしようもなく怖くて


だから逃げ出した


そんなちっぽけな人間だから
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