たった一人の親友へ〜another story〜
それと同時に


義父にも激しい嫌悪感を感じた


わざと大きな音をたててリビングのドアを開ける


その瞬間


二人は勢いよく離れて


焦りながら俺の顔色を伺う


その姿はとても滑稽で


ちっぽけに見えた




「そういうことは、寝室かホテルでやれよ」




冷たく放った言葉に母親はどれだけ傷付いただろう


ただその時の俺は


母の寂しさを受け止められるほど寛大でもなければ


許すことすら出来なかった

「お前は勉強でもしてなさい」


初めて聞く義父の怒鳴り声


「何の勉強?
性の?笑」


「翔!お父さんになんてこと言うの…」


母親が目に涙をためて叫ぶ

苛っときた


この期に及んで義父の肩を持つ母に


改めて自分の存在を否定されたようで


「俺はこいつのこと父親だなんて思ったことねぇよ」
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