たった一人の親友へ〜another story〜
空気が凍り付くって


こういうことを言うんだと


その時初めて感じた


いたたまれなくなった俺は


ケータイを手に取り


その場を走り去った




泣いている母の顔がどうにもこうにも頭から離れなくて


それが更に俺を苛立たせた


言ってしまったことは取り返しはつかない


分かっているのに


分かっていたのに


どうしてあんなこと言ってしまったんだろう


後悔だけがつのる




俺はいつも大事なものを傷つけてばかりだ


大事なものほど距離を置いて


遠ざけようとする


一番弱い人間のすること


弱いことを隠して


殻に閉じこもる自分が一番


格好悪かったのにな
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