たった一人の親友へ〜another story〜
その日から家には一切帰らなくなった


冬になるとほとんど使われなくなる事務所に入り浸り


俺は家族との縁を断ち切った






二月の終わり


さなから連絡が入った


「渡したいものがあるんだけど、今から会えない?」


久しぶりに聞くさなの声が俺の心を掻き乱す


「うん。俺もさなに会いたい」




待ち合わせ場所は中学の校門


さなはまだ来ていない


柄にもなくドキドキしながら


俺はさなが来るのをひたすら待った
< 48 / 220 >

この作品をシェア

pagetop