たった一人の親友へ〜another story〜
俺の言葉にさなは


笑顔で“うん”と頷いた


その笑顔を見て


やっぱりこれでいいんだ


友達のままが一番いいんだ、と


無理矢理自分を納得させた







もしこの時


君の気持ちに


少しでも


俺が気づいていたとしたら


俺達の未来には何があったんだろう


お互いどこかで


寂しさを埋めるために愛情を求めて


自分たちの気持ちを押し殺して


それでも一番近くに居続けた


でもさ、さな


俺思うんだよ


あまりに近くにいすぎた俺達は


お互いを思いやりすぎて


結局何も見えなかった


もしあの時


お互いの気持ちが通じたとしても


きっと上手くはいかなかったんだろうな、なんて


言いたいことも言えずにさよならしてたかな、とかさ


だから


やっぱり後悔しても


辛くても


苦しくても


俺達が選んだ道は


間違っていなかったと


そう思うんだよ
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