たった一人の親友へ〜another story〜
まさかとは思った


もう十年以上も経ってるのに


「あぁ。覚えててくれたか」


父の安堵した声が聞こえる


言いたいことはたくさんあった




今どうしてるの?


何で迎えに来てくれなかったの?




それでも俺の口から出た言葉は


冷たいものだった


「今更何?」




こんなことが言いたかったわけじゃない


でも心の隅にいつもあった気持ち


父がどこかで自分を見守ってくれているって


だから嬉しい半面


どうやって接していいか分からなかったんだ


もう俺の中で父親は捨てたものだったから
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