たった一人の親友へ〜another story〜
小さい頃
気がついたら俺の中には
父親という存在はなかった
だから他のやつらを心底羨ましくも思ったし
父親を恨んだ時期もあった
クラスのやつが父親とキャッチボールしているのを見ると
人一倍壁に向かってボールを投げつづけた
友達の家族写真を見るたびに
父さんという存在を自分の中だけで作り上げた
俺は今までそうやって生きてきたから
そうやってでしか生きられなかったから
どこかで父さんは俺のことを想ってくれている
いつか俺と母さんのことを迎えに来てくれる
それが唯一の
俺にとっての唯一の希望だった
あれから10年たって
俺が一番怖いことは
その希望を失うこと
だから俺は初めの一歩を歩み出せずにいたんだ
さなの言葉を聞くまでは
気がついたら俺の中には
父親という存在はなかった
だから他のやつらを心底羨ましくも思ったし
父親を恨んだ時期もあった
クラスのやつが父親とキャッチボールしているのを見ると
人一倍壁に向かってボールを投げつづけた
友達の家族写真を見るたびに
父さんという存在を自分の中だけで作り上げた
俺は今までそうやって生きてきたから
そうやってでしか生きられなかったから
どこかで父さんは俺のことを想ってくれている
いつか俺と母さんのことを迎えに来てくれる
それが唯一の
俺にとっての唯一の希望だった
あれから10年たって
俺が一番怖いことは
その希望を失うこと
だから俺は初めの一歩を歩み出せずにいたんだ
さなの言葉を聞くまでは