たった一人の親友へ〜another story〜
その夜


いてもたってもいられない俺は、さなに何度も電話とメールを送った


言い訳がしたかったわけじゃない


ただ安心したかった


まださながおれの傍にいてくれるっていう、安心感が欲しかったんだ


でも


何度メールをしても電話をかけても


さながそれに答えることは無かった


あれだけ自分勝手なことを考えておいて


それでいてやっぱりさなを手放せない自分がいて


自分で自分を理解することもできなかった





さなと連絡が途絶えてから何日かがたった


ゆいに心配されるほど、この何日か本当に元気もなくて


ただただ彼女のことばかり考えていた


どうしても会いたかった


顔が見たかった


あの笑顔も


泣き顔も


全部


俺に向けられたものだと信じたかった






あの日俺がしてしまったことが


本当に正しかったのかは今でも分からない


でもやっぱり


今の俺が過去に戻れたとしても


あぁするしかなかったんだ


なぁ、さな


俺はやっぱり弱虫で


傷つくことが怖いだけの


最低なやつだな
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