ひまわりハウス
「考ちゃん…こうやって大人になっていくのね」
「どうやってだよ!!」
海月に鋭く突っ込まれながらミニプール開きは終わった。
辺りは淡い朱に染まり夕暮れを知らせている。
プールを片付け終わったあたし達は縁側に腰掛け、ぐっすりと眠る考ちゃんの頭を撫でながら夕暮れの空を見上げていた。
「考ちゃんぐっすりだね」
優しく考ちゃんの髪を梳く。まだ幼い考ちゃんの髪は柔らかい。
「あれだけはしゃげば疲れも出るだろ」
海月は考ちゃんをうちわで扇ぐ。
「海月も疲れたでしょ?考ちゃんに振り回されてたもんね」
「あぁ…体のあちこちが筋肉痛になりそうだ」
なんて言って二人で笑う。海月も最近は笑えるようになってきた。
家に来て日は浅いけれど、確かにここには絆がある。
すぐにじゃなくていい…少しずつ作っていければそれで…
「天音…お前は何でばぁさん家で暮らしてんだ?」
「え…………?」
海月の突然の問い掛けにあたしは言葉が詰まった。
いつかは言わなきゃいけないとは思ってたけれど…
それが今だなんて…
「…それは…………」
「言いづらいならいい。ただ気になっただけだ」
海月はそう言うけれど、あたしは…
話さなければいけない気がした。そうでなければ海月は心を開いてはくれないから…