俺の姫様
その年の冬、クリスマスが近づくと共に、私の誕生日も近づいてきた頃…、翔ちゃんは素っ気ない態度をとることが増えてきた。
私立受験も刻々と迫ってたから、きっとそのせいだろうって、割りきるようにしてたんだけど――…
12月23日、私の誕生日の日。
この日は祝日で、冬休み1日目でもあったけど、私達2人と友達3人は、学校で勉強することにした。
…結局、私はその勉強会に参加しなかったんだけどね。
だって…、教室に入ろうとした時、見ちゃったんだもん。
一緒に勉強する、友達の女の子に「愛してるよ」って、すごく優しい声で、すごくすごく愛しそうな目をしながら言ってるところ。
きっと私は、受験のせいだって割りきれてなかったんだと思う。強がってるだけで、不安でいっぱいいっぱいだったんだ…。
「愛してるよ」なんて、彼女の私には1度も言ってくれなかったのに。辛くて、悔しくて、悲しかった。
信じてた彼氏(ひと)に裏切られたって、涙が止まらなかった。
何度も止めようとした。
上を向いて歩いてもみた。
…けど、止めることは出来なくて。