俺の姫様



葵庭園―…、多くの緑と規則正しく敷かれた石畳。鯉の泳ぐ池に、可憐に咲く花々…。隅々まで目の行き届いたその美しさは、思わず息をのんでしまうほど。



そんな庭園のある場所でのパーティーは、やっぱり普段とは少し違う雰囲気に包まれていた。


雰囲気は違っていても、やることは同じ。

様々な企業の重役や社長、その家族に愛想をふりまく。相手の気を害さないように、敬い、誉める。



この頃の私は、まだ少し親しい人以外と話すのが苦手で、パーティーはあまり好きじゃなかったけど、一生懸命会話をしながら翔ちゃんが1人になるのを待った。


翔ちゃんは、今はあんな風に金髪でチャラチャラしてるけど、中学までは染髪もピアスもしていない…好青年って感じだった。

学校ではもちろん、パーティーでもすぐに女の子に囲まれるんだ…。
翔ちゃんは優しいから、全員にしっかり対応するの。だから、なかなか1人になってくれなくて。

やっと話しかけるチャンスができたのは、パーティーも終盤に差し掛かった頃…、そう、今日みたいに綺麗な夕日が出てた。




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