永劫の罪人 光の咎人
 その場に赤き血潮を降らせず、男たちの体を折り重ねていく。

 多勢に寡勢という戦局で、戦いを優位に運んでいるのは警護隊とマテリア。
 その様をロンドは頭を整理させながら眺めていた。

 こちらに賊が逃げてくる。と、ビクターが落ちていた剣を拾い、すかさず前に出て賊を弾き飛ばす。
 余裕があるのか、マテリアの動きを見ながら「すげー」と歓声を上げている。

「なあ少年、『永劫の罪人』がどうして賊と戦っているんだ?」

「……僕に聞かれても困ります」

 こちらに刃を向けるかも……という不安はある。
 それでもマテリアの動きが美しく思え、目が離せない。

 剣なんて人を傷つけるための、恐ろしい物だと思っていたのに、剣を振るう彼女の躍動がきれいだと感じてしまう。
 ロンドが見とれている間に、賊は首領を残し、全員が地へ突っ伏していた。

「お、お前は、この国に災いをもたらした者ではないのか!」

 首領の叫びにマテリアの眉根が寄る。

「何だそれ? 誰が好んで災いなんか起こすか!」

 彼女は声を張り上げ、首領に飛びかかった。
 すかさず首領は剣を交える。ほかの仲間よりも腕が立つのか、マテリアの剣撃を力で押し戻そうとする。

 じりじりと、刃がマテリアの顔へ近づいていく。
 が、恐れるどころか、彼女はニッと歯を見せて不敵に笑った。

「この程度じゃあ、村の老人でもお前に勝てるな」

「何を――」

 首領が話すよりも早く、マテリアはいったん剣を引き、刃を閃かす。

 ギン、ギィンと、鮮やかな連撃が決まる。
 首領の手から剣は離れ、弧を描いて空を舞った。

 マテリアは容赦なく膝を首領の腹へ打ちこみ、そのまま蹴り倒す。
 彼は口からこみ上げた物を吐き出しながら、無残に地へ沈んでいった。

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