永劫の罪人 光の咎人
 このままでは誤解がとけそうにない。ロンドは小走りに二人へ駆け寄る。

「ガスト様、怒らないでください。彼女はまだ生き返ったことを理解していないんです」

 二人の間に割って入ると、ロンドはマテリアと向かい合う。
 真っ直ぐこちらを見てくる瞳から、悪人が持つよどみは一切見当たらない。
 どこまでも澄み渡った眼差しだ。

(……彼女を信じよう)

 緊張の色を見せつつも、ロンドは努めて穏やかな表情と声を作る。

「えっと、マテリア様。とても信じられない話だとは思うのですが……貴女は生き返ったのです」

 マテリアは小首をかしげる。

「生き返った?」

「話せば長くなるのですが――」

「長く……なるのか?」

「え、ええ」

 すぅぅ、とマテリアの瞼が下がり、半目になった。

「じゃあ明日教えてくれ。何だか……まだ、眠い……」

 マテリアの上体がぐらりと大きく揺れる。
 少しは踏ん張ったが力及ばず、そのまま背中から倒れていく。

「おっと、危ないな。ったく、どうするんだ彼女?」

 すかさずビクターが彼女の肩を受け止めつつも、どうしたものかと困った色を浮かべる。

 剣を鞘に収めてから、ガストは腕を組んでうなった。

「昔は知らないが、今、別に悪いことをしたわけではないからな。賊の討伐を手伝ってくれた功績もある……ロンド様、いかがいたしますか? それから、隣の者は一体?」

 急に意見を求められ、ロンドは落ちつきなく二人を見交わした。

「す、すみません……いろいろありすぎて、何からお話すれば……」

 お構いなしに眠る、マテリアの安らかな顔をのぞきながら、三人はしばし沈黙した。
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