永劫の罪人 光の咎人
「ダット……あ、なんだ。王都か」
聞きなじんだ街の名前に、マテリアは少しホッとした。ただ、元城下街という言い方が気になる。
詳しい話を聞きたくて、マテリアは体を起こす。
いつ着たのか覚えていない、大きくダブついた白シャツが、マテリアの目に入った。
「あれ? こんなシャツ、いつの間に着たんだろ?」
ビクターが親指を自分に向ける。
「オレが着せたんだ。ちなみにソレ、オレのシャツな。汗臭くても勘弁してくれよ」
鼻をくんっと動かし、マテリアはシャツを嗅ぐ。
少しほこりっぽい臭いはしたが、ビクターが言うほど臭くはなかった。
「気にならないよ。世話になったみたいだな、ありがと」
汗臭いっていうのは、真夏に農作業で汗をたれ流し、その汗をぬぐって絞ってを繰り返したタオルやシャツのことだ。
こんな少しだけまったりした男の香りがついたシャツなど、まだまだ清潔感があって着られると、本気でマテリアは思う。
素直に礼を言ったのに、なぜかビクターはあからさまに肩を落とした。
「もっと色気のあること言ってくれよ。お前さんには、恥らいというものはないのか?」
思わずマテリアは吹き出し、背中をかいた。
「あはは、勘弁してほしいな。色気だなんて私には縁がないから。うーっ、背中がムズムズする」
「それでも女かぁ? ……まあいいけどな」
ビクターはこれ以上話題を引っ張らず、おもむろにマテリアへ、丸めた衣類を投げる。
「ホラ、寝ている間に服を調達しておいたから、着てみてくれ」
聞きなじんだ街の名前に、マテリアは少しホッとした。ただ、元城下街という言い方が気になる。
詳しい話を聞きたくて、マテリアは体を起こす。
いつ着たのか覚えていない、大きくダブついた白シャツが、マテリアの目に入った。
「あれ? こんなシャツ、いつの間に着たんだろ?」
ビクターが親指を自分に向ける。
「オレが着せたんだ。ちなみにソレ、オレのシャツな。汗臭くても勘弁してくれよ」
鼻をくんっと動かし、マテリアはシャツを嗅ぐ。
少しほこりっぽい臭いはしたが、ビクターが言うほど臭くはなかった。
「気にならないよ。世話になったみたいだな、ありがと」
汗臭いっていうのは、真夏に農作業で汗をたれ流し、その汗をぬぐって絞ってを繰り返したタオルやシャツのことだ。
こんな少しだけまったりした男の香りがついたシャツなど、まだまだ清潔感があって着られると、本気でマテリアは思う。
素直に礼を言ったのに、なぜかビクターはあからさまに肩を落とした。
「もっと色気のあること言ってくれよ。お前さんには、恥らいというものはないのか?」
思わずマテリアは吹き出し、背中をかいた。
「あはは、勘弁してほしいな。色気だなんて私には縁がないから。うーっ、背中がムズムズする」
「それでも女かぁ? ……まあいいけどな」
ビクターはこれ以上話題を引っ張らず、おもむろにマテリアへ、丸めた衣類を投げる。
「ホラ、寝ている間に服を調達しておいたから、着てみてくれ」