永劫の罪人 光の咎人
 色気発言に笑いながら、マテリアは衣類を受け取る。
 触り心地のいいクリーム色の長ズボンと、赤味が強い桃色の上着、そして女物の半袖シャツに下着。

 さっそくマテリアは着替えだす。あわててビクターが視線を窓辺へ外した。

「頼むからオレの目を気にしてくれ。そのムダな度胸はどこからくるんだ……ったく」

「昨日のうちに見てるんだろ? 今さら恥ずかしがるほうがムダだって。すぐに着替えられるし」

 素早くマテリアは下着をはいて服に袖を通す。
 少しズボンの裾が足に垂れていたが、自分好みの動きやすい服だった。

「着替え終わったよ。上着の色はイマイチだけど、服自体は好みだな」

 どういう状況かわからないが、新品の服を着られるのは嬉しい。
 思わずマテリアから笑顔がこぼれる。

 振り返ったビクターの眼が一瞬大きく開き、首をかしげた。

「……そんな顔で笑える罪人なんて、今まで見たことないな」

 同じようにマテリアも首をかしげる。

「罪人って、私が?」

「オレもよく知らんが、お前さんは『永劫の罪人』だって言われてたぞ。一体、何しでかしたんだ?」

 初めはビクターの冗談かと思ったが、彼の目は真っすぐにこちらを見ていた。
 どうやら軽口ではないらしい。マテリアは眉間に皺を寄せる

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