永劫の罪人 光の咎人
「そう言われると何も言えません。僕は非力だから、もっと筋肉をつけたほうが……ガスト様、教会へ戻ったら僕を鍛えてください。お願します」

 本気で鍛えるつもりで口にしたが、なぜか三人は困ったように眉根を寄せ、珍妙な面持ちでロンドを見ていた。

「……ロンドはそのままがいいと思う」

「確かに。私もそう思います」

 マテリアとガストがうなずき合う。
 そんなに変なことを言っただろうか? 首をかしげるロンドへ、ビクターが「だってなあ」と苦笑を向ける。

「鍛えて筋肉ムキムキのロンドなんて、お前らしくないぞ」

 三人に言われて、ロンドは筋肉がついた自分を想像し……確かに似合わない気がしたので、あきらめがついた。

 マテリアが小さく笑い、ロンドの脚を叩く。

「やっぱりその歳になると、そんなこと気にするんだな。アイツも体格のよかったアスタロと比べて、自分の細い腕を気にしてたな」

「マテリア様のご友人ですか?」

 少しでも記憶が戻ってよかった。ロンドがそう思った矢先。

 ――突然マテリアが頭を抱えてうずくまった。

「大丈夫か、マテリア!」

 あわててビクターがマテリアに駆け寄る。
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