永劫の罪人 光の咎人
「僕が未熟なせいで……申し訳ありません」
それ以上ロンドは何も言えず、うつむいた。
昔は王の寵愛を受け、国の教えとしてライラム教は民衆に浸透していた。
しかし百年前、絶対王政を覆す革命が起きた。
革命の成功により王政は終わり、それまで国教として扱われていたライラム教は後ろ盾を失った。
民主政になったこの国で、今もライラム教は根づいている。
だが、以前よりも人々は教会に足を運ばなくなり、熱心に信仰する者も少なくなった。都合が悪くなってから、法術を頼って駆けこんでくる者ばかりだ。
一度冷めてしまった民衆の心を、元に戻すことなどできない。
現状を維持することが、どれだけ難しく、教会を存続させるために必要なことか。そんなヴィバレイの深慮がよくわかった。
(すべては僕の力が至らないから……)
ロンドは心を痛めながら、話題を切り替える。
「歴代の教皇様の中でも、どうしてハミル様なのですか?」
「秘薬は人を生き返らせるが、肉体まで若返らせぬ。歴代の教皇はほとんどが老衰で亡くなられている。そんな中、若くして命を落とし、名高かった教皇。それが教皇ハミルなのだ」
ロンドは口に手を当て、ハミルについて書かれた文献を思い出す。確か二十歳の若さで、流行り病で亡くなったと書かれていた気がする。
一体どれだけ素晴らしい人だったのだろうか? 会えるならば、ぜひ色々な話を聞いて学びたい。しかし秘薬の副作用をハミルに背負わせたくない。
そう思うと心苦しくなり、ロンドの息が詰まった。
ヴィバレイが踵を返し、祭壇へゆっくりと向かい壷を置いた。零れる金色の光に窓から射す光も混じり、輝きが増した。
「ロンドよ。ガラスの小瓶を三つ持ってきて、シムに渡してくれぬか? 秘薬を分けなければな」
「……はい、ただ今お持ちします」
ハミルの復活に、どうしても罪悪感を覚えてしまう。ロンドは晴れぬ心のまま頭を下げ、奥の間を出た。
それ以上ロンドは何も言えず、うつむいた。
昔は王の寵愛を受け、国の教えとしてライラム教は民衆に浸透していた。
しかし百年前、絶対王政を覆す革命が起きた。
革命の成功により王政は終わり、それまで国教として扱われていたライラム教は後ろ盾を失った。
民主政になったこの国で、今もライラム教は根づいている。
だが、以前よりも人々は教会に足を運ばなくなり、熱心に信仰する者も少なくなった。都合が悪くなってから、法術を頼って駆けこんでくる者ばかりだ。
一度冷めてしまった民衆の心を、元に戻すことなどできない。
現状を維持することが、どれだけ難しく、教会を存続させるために必要なことか。そんなヴィバレイの深慮がよくわかった。
(すべては僕の力が至らないから……)
ロンドは心を痛めながら、話題を切り替える。
「歴代の教皇様の中でも、どうしてハミル様なのですか?」
「秘薬は人を生き返らせるが、肉体まで若返らせぬ。歴代の教皇はほとんどが老衰で亡くなられている。そんな中、若くして命を落とし、名高かった教皇。それが教皇ハミルなのだ」
ロンドは口に手を当て、ハミルについて書かれた文献を思い出す。確か二十歳の若さで、流行り病で亡くなったと書かれていた気がする。
一体どれだけ素晴らしい人だったのだろうか? 会えるならば、ぜひ色々な話を聞いて学びたい。しかし秘薬の副作用をハミルに背負わせたくない。
そう思うと心苦しくなり、ロンドの息が詰まった。
ヴィバレイが踵を返し、祭壇へゆっくりと向かい壷を置いた。零れる金色の光に窓から射す光も混じり、輝きが増した。
「ロンドよ。ガラスの小瓶を三つ持ってきて、シムに渡してくれぬか? 秘薬を分けなければな」
「……はい、ただ今お持ちします」
ハミルの復活に、どうしても罪悪感を覚えてしまう。ロンドは晴れぬ心のまま頭を下げ、奥の間を出た。