ガラスのタンポポ#虹
追いかけたいのに、オレは奏来の背中を見つめた。


羽が生えてやしないか。


そんな心配もしたくなるさ。


だって。


今日は、クリスマス・イブ。


奇跡の1日なんだから。


部屋へ戻ると、別々にホテルの大浴場で冷えた体を温めた。


館内の古びたゲームコーナーでちっともかわいくないうさぎのぬいぐるみを取ったり。


夜はクリスマス特別メニューのチーズフォンデュ。


「奏来、知ってる?チーズフォンデュで鍋ん中にパン落としたりすると、隣の人にキスしなきゃならないんだぜ?」


オレが言うと、奏来は慎重すぎる程、フォークに深くパンやブロッコリーを刺してチーズの中をくぐらせるから、また笑えた。
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