ガラスのタンポポ#虹
───カチッ


再び部屋の電気がつくと、奏来の目には涙がたまっていた。


オレが奏来の涙をぬぐえる、やっとこの時。


唇を当てて奏来の涙を吸った。


ほんのり甘く感じる奏来の涙。


ずっと待ってた。


こんな風に奏来の涙をぬぐう瞬間を。


兄貴じゃなく。


オレが受け止めたかった奏来の涙。


やっと。


叶ったんだ。
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