ガラスのタンポポ#虹
“翔ちゃん…?”


「ん?」


“タンポポ、見に行こうか?”


「うん…。そうだな」


家を出てすぐの小さな公園には、黄色い絨毯を敷き詰めたような、一面のタンポポ。


見たくなんかなかった。


咲かなければ良かった。


春なんて来なくていい、ずっと冬のままで。


なのに奏来はいつもそうしていたように、タンポポのかんむりを作り始める。


出来上がったかんむりを。


オレの手に。


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