ガラスのタンポポ#虹
「それ、間違ってねぇ?」


「…え?」


「身を守るって意味が違うとオレは思う。それってさ、弱い心を隠してるって言わない?」


「弱い…心…?」


「骨折にかこつけて花音は本当の意味で生きてない。生きるってさ、ちゃんと学校行って、自分の進むべき進路見つけて自立するって事。自分で立つって事。花音にはちゃんと未来がある。奏来みたく声も将来も摘まれてしまった人生じゃない。自分で立つべきだとオレは思う」


「………」


「このまま自立できねぇで?いつまでも親におんぶされて?周りを目隠しして見えないように年老いていくのかよ?そんなの生きてねぇよ。勉強も友達も、恋愛も就職も、自分の手でつかみに行けよ。…って、オレが言っても説得力ねぇと思うけど」


「ううん…。翔くんの言う通り。あたしもなんとなくわかってた。心の中では、このまま立たずに一生暮らしていけるなんて思ってなかった。あたし…ちゃんとリハビリしようか、な…」
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