【短編】アタシの年下クン
「――――ハァ…やっとか」
ため息と共につぶやかれた言葉。
アタシは嗚咽を飲み込んだ。
そんなアタシを優しく瞳を細めながら、透大が見た。
「やっとですね、紫苑さん」
「へ……?」
なに…?
どういうこと…?
ぐじゅぐじゅの顔のまま眉をしかめると、それを見た透大が苦笑する。
「とりあえず、座りましょうか。この体勢じゃ、紫苑さんの涙を拭えませんから」
そう言ってアタシの肩を掴むと、透大は起き上がった。
体を起こすと、すっぽりと透大の膝の間に収まっていた。
「ハハッ。泣きすぎて、化粧が落ちてますよ」
楽しそうに笑いながら、アタシの頬を親指でそっと透大が撫でた。