【短編】アタシの年下クン
「分かってます。年下に甘えるなんて、プライドの高い紫苑さんは許せないだろうって」
テノールの優しい声が、じんわりと体に響いていく。
「寂しい時もあったけど、俺は気にしてませんよ。だってそうゆうのも含めて、紫苑さんなんですから」
あぁ、もう。
これじゃ、どっちが年下か分かんないじゃない。
また新たな涙が頬を伝い、透大の手を濡らす。
「俺はどんな紫苑さんだって好きです。全部受け入れられる自信もあります」
「とぅ…」
「だから、もう少し肩の力を抜いてください。俺が支えますから」
もう、限界だった。
ワッと声を上げて泣くアタシを、透大はギュッと強く抱きしめた。
透大、透大と何度も愛しい名前を呼び、涙を流した。