【短編】アタシの年下クン
『―――ずっと好きでした』
そう告げられたのは、大学の食堂で、今まさに焼肉定食を買おうとした瞬間だった。
新手の詐欺か?
そう思ったアタシは、鬱陶しげに顔を上げた。
そこには、シトラスの汗を流しているような爽やかな青年―――透大がいた。
『雪村さん。俺と付き合ってください』
まるで定型文のような台詞に、アタシは苦笑した。
『ゴメン。アタシ、今そうゆうの考えてる場合じゃないんだ』
言ってから、なんて失礼な発言だったのかと、自嘲した。
なにが、“そうゆうの”だ。
もう少し言い方を考えろと、自分に罵倒した。
が、相手はそんなことを気にも留めなかったらしい。