薬指のマニキュア
部屋をこまなく見渡す


ドアの隣にあった本棚を見ると本が沢山置いてあった


漫画からファッション雑誌まで

その中にエッセイもあった
手にして見ると、それはエイズに感染した人の本だった



私はそれを手に取りパラパラっと鳴らしてみた

すると一枚の紙が二つ折りで挟まっていた


静夏「紙が挟まってる…」



そのページを詳しく読む




【冬が近づくと何だか寂しくなる。
暖房をつけても、毛布にくるまっても寒くてしょうがない。
でも…、ポカポカした朝は今日もまたやってくる。
まだ生きてたと実感した】




洋治も毎朝
【今日も生きてた】って思ってるんだろうか…



すると向こうから洋治の足音が聞こえた
私は急いで持っていた本を本棚に戻した



洋治「何してんの☆?」



静夏「何もッッ!!
ね?天気いいんだし、散歩でも行かない?」


少し考える洋治を見て



静夏「普段あまり外に出ないでしょ?
だから私が案内するよ☆」


目を見開いた私に


洋治「そうだなぁ〜。
母ちゃんには置き手紙すればいっか!行きたい☆!!」


っと無邪気に答えた



静夏「じゃあこっちの部屋で待ってる☆」


私は部屋を出た
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