薬指のマニキュア
洋治「お〜!あれか☆
大きくて綺麗な学校だね!
んで、静夏の教室はどれ?」



静夏「あそこの左から3番目の、あの教室!
私は窓際の席だから、席からこの丘が見えるの」



洋治「じゃあここから手を振ったら、静夏に見える?」



洋治は手すりから身を乗り出し
目をキラキラさせている


静夏「みえるよ!私は視力が良いんだから」



「そっか☆」と無邪気に笑う洋治の背中を見ながら思った



何で洋治なの……?


何で洋治がエイズにならなきゃいけないの……?


こんなに普通の男性なのに
「エイズ」って言葉が隣に居るだけで、洋治は除け者


私はただ
この背中を見てるだけしか出来ないなんて…


言葉も病気も本当に怖いものだよね…




洋治「今日は楽しかった!ありがとな」



静夏「いつでも誘ってよ!
またどこかに行こうよ☆」



洋治「あぁ。楽しみにしてるよ!じゃあ、またな」



笑顔で手を上げ洋治は家に入った
それを確認して私も家に帰った


静夏「ただぃ…お母さん」



玄関に入ると目の前にお母さんが立っていた

さっきまでの私の笑顔はもうない


静夏「なに…?」


母(静)「誰と今まで何処に行ってたの!」
.
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