悲しき 極道

恐怖の鷹取寮

原野君はみんなから、
ハラチンと呼ばれてた。

理由は分からんけど、
チンコがデカいかなんかやろ。

ワシには、
絶対つかへん呼び名やな…



ハラチンは、
鷹取寮の寮長が飼ってる
セントバーナード犬の
世話担当やった。
朝晩、毎日散歩をさしてた。

ワシの犬好きは、
寮長らも知ってたさかい、
なんの疑いもなかった。

 「…この辺で大丈夫やろ〜」

ハラチンはパンツの中から、
タバコを出した。

それも裸のタバコ一本や…

火は、
ハラチンの腰にかけてる
蚊取り線香や。


ワシらは、お決まりの様に
ウンコ座りをして吸った。
一本を二人で大切にな。



学園では、
タバコが入らんし、
売ってるワケがない。

なんせ子供達の刑務所
やねんから。


せやのに、
ハラチンは持ってた。



鷹取寮の寮長は、
 『モトジ』
と言うヤクザみたいな男や。

学園の先生やのに、
ベンツに乗っとる。

マブしぃ位、
ビカビカのアクセサリーつけとる。

顔もイカついし、
ええとこあらへん。



モトジはいつも、
その辺にタバコをおくらしぃ。

生徒は隙を見ては、
パクっては吸う。

このブツもそぉらしいわ。


ワシとハラチンは、
毎日こんな感じやった。


ある日、
ワシらはいつもの様に
ウンコ座りでタバコを吸ってた。


 「ウマいなぁ〜」

とか、味も分からんのに…


丁度、半分位吸うとる時や。

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