悲しき 極道

六年生

なんでかしらんけど、
五年生の事は覚えてない…


多分、
六年生の思い出が
大きいからやと思うわ。



実は、
五年生の終業式があった日に
晴れて卒園した。

川西の育て親の元、
普通の学校に行くよぉなった!


長かったよぉで、
早かった二年半。

さらば、子供達の刑務所!!



普通の学校に通う様になった。
ワシはサッカーが好きで、
毎日グラウンドで遊んでた。

最初はワシだけやったが、
一人…また一人と増えていった。

いつの間にか、
2チームで、試合が
出来る様にまでなってたな。


雨が降ろうが、
嵐であろぉが、
朝7時には学校に行って、
試合してた。


ある大雨の日、
試合が終わって教室に戻った。

ほとんどの生徒が、
窓からワシらに声援送ってくれた。

ヒーローになった気分やな〜


教室に入ると、
すでに先生はきてた。

大雨でもサッカーするワシらに、
先生はこぉ言いよった。

 「君たちは、
  サッカーをしているが
  サッカーにプロはない。
  やるなら、野球にしなさい。
  明日からは、
  朝のサッカーを
  やめる様にー」


今思えば、
あの先生の考えは間違ってたな!
あのまま続けてたら、
ワシはカズとメンバーで
中田の先輩やで…

ワシの人生、
変わってたかもな!


後で知ったんやが、
朝のサッカーだけやめろ
と、言う意味やったらしぃ…



やることもなく、
毎日タバコを吸う日々が続いた。

ワシの小遣いも
少なくなってきたさかい、
父親の財布から
千円札を一枚だけ抜いた。


実は川西にきてから、
腹一杯に飯喰うてない…

そら、気ぃ使うわな。

抜いた金で、
マクドのポテトを買った喰た。


金が無くなったら、
一万円だけ抜いていった。
毎回、一万円札だけならバレへんさかいな。


その金でワシは、
毎日
お好み焼きを喰うた。

欲しい物も買った。

贅沢なセレブ小学生やな。


しばらくは、
こんな生活を続けてた…

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