悲しき 極道

正義のハズが…

ある日、
田原本とワシが寮に帰って
みんなより遅い晩飯を喰うてた。

他のみんなは、先に自由時間や。



ワシらがメシ喰うてると、
チェッカーズ大好き男の
伊吹がワシの横にきた。
彼は三年生や。


ワシがメシ喰うとる横で、
伊吹はクチャクチャ言わしとる…
ワシは、関わりたくないから、
伊吹を見やんかった。

しかし、シツコイ…


しゃーないから、
伊吹を見たった。



…ワシは何も考えずに、
伊吹をドツいた!!


クチャクチャ言わして、
なんか喰うてんのは分かったけど…

それは、アカンやろ…


伊吹はバッタを喰うて、
ワシに 『ベ〜』ってしとった…

その舌の上には、
バッタの顔もあった…


伊吹は床に転がっとる。

ワシはメシどころやなくなってもた…


「…お前、えぇかげんに
せぇよ!!」

「…ごぉ…べぇ…んぐぅ…」

「…メシ喰われへんやんけ!!」


ワシは立て続けに、
ボロカス言うたった。

伊吹も泣いて頭下げとる。



こんな事する理由を聞いた。

伊吹は泣きながら、話始めた。

…んッ?!

ワシは、
伊吹のホッペタに目が行った。

「…ヤバい…」

ワシは伊吹に
話せぇ!!
って言うたけど、
しゃべるな!!
に変えた。

伊吹のホッペタに、
パチンコ玉くらいの穴が開いとる…

ヤバい!! ヤバい!!


ワシはどぉしてえぇもんか、
焦りまくった…

「バンドエイド張ったらわ?」

冷静に田原本が言いよった。

「…そやな!!」

ワシは急いで手当てした。


伊吹は八重歯があって、
タマタマそこをドツいてもた…
運が悪かった。



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