悲しき 極道

ワシは

「ヤメたれや!!」

言うて行きたかったが、
ちょっと前に
ボコボコいわされとるさかい、
びびって言われへんかった…

情けない…



その夜、
鷹取寮のハラチンがいつものよぉに、
タバコ吸うのにワシを誘いにきた。

ワシはタバコを吹かしながら、
ハラチンに相談した。


ハラチンは笑いながら、

「小田だけイワしたれ〜
スネオはほっといても、
大丈夫やから〜」

と、あっさり言う…


ワシは星を眺めながら、
フッと児童相談所の
担当、加納のオバチャンの言葉を思い出した。

「あのね、イジメを見て
見ぬフリをしている人は、
イジメをしている人と
一緒なんだよー…」


…そぉなんやな。


ワシはイジメとるんと一緒なんや…

知らん顔する事が、
ヒキヨーなんや。

助けやなアカン!



ワシは小田をドツく方法を考えた。



次の朝、
いつものよぉに
小田は好きな食い物を
伊吹から取り上げた。

ワシは今やと思い、
用意してた棒を背中に隠して

「返したれ!」

言うてもた…

小田がなんやかんやと、
ワシに向かって言うとる。

もぉヤルしかない!!


ワシは握りしめた棒で、
小田をドツきまわした。

小田はイスから崩れ落ちよった…



ハラチンの言う通り、
スネオは知らん顔して下向いとる。


ワシがスネオに近づくと、
スネオは泣きながら謝りよった…
情けないヤツや。


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