悲しき 極道
剣道大会の日、
小田は新しぃ袴着て
調子乗った顔しとった。
ワシらは汚い袴やのに…
大会は、
個人戦と団体戦や。
団体戦は寮対抗で、
布引寮が優勝した。
運が良かったんやろ…
個人戦でワシは、
いきなり小田とや。
誰が決めたんや…
試合が始まってすぐ、
小田は無茶苦茶してきよった。
前の恨み晴らす気やな…
無茶苦茶しよるさかい、
ワシは一回場外に足出した。
間合いの取り直しや。
「始め!」
の声と同時に、
「メ〜ン〜ッ!!」
やて。
…おいおい。
まだやろ…
「一本!!」
「…まだやろ!?」
「一本!!」
ペペは白旗を上げとる…
ワシはこの時、
やっと気付いた。
一回戦で小田に当てたのも
ペペや。
無茶苦茶やって、
不意討ちするのも作戦なんやな。
こいつら汚いな…
小田が笑いながら、
二本目の間合い取るのに
背中向けて歩いとる。
ワシは、
竹刀でおもいっきり
足ドツいたった!
小田がコケた。
「もらった!!」
頭にかぶっとるメンを、
何回も踏みつけたった。
スグに、
先生らに止められた。
その場でボコボコにされてもた…
他の試合を
正座で見せられたが、
顔が腫れ上がって見えへん…
結局ワシは、
いつもこんな運命ですわ。
…クソ、小田めが…