悲しき 極道

岩石イワオ

那須はトンコする気やなく、
鬼パチを入れたかっただけらしぃ。


学園には
カミソリがないさかい、
家まで剃りに帰って
間に合わんかったみたいや…

アホや…


鬼パチ言うても、
ソリコミやない。

ただのデコが広すぎる
キモいヤツやな…

おデコが15センチはある、
キモい君やな。




地区大会に優勝した位で、
学園には横断幕が…

それも手作りやさかい、
汚い。

学園内に、
部外者はこやんねんから
意味ないし…

まぁ、
クイコミのやりそうな事や。


ワシは、
大会でどないなろうと
興味なかった。

楽しみは
外に出れる事やった。

犬でもそぉやが、
散歩言うても
なんら変わらんのに
喜びまっしゃろ?

あれと一緒ですわ。

出れるだけで嬉しぃ。




県大会を一週間後に控えた夜、
六甲寮の寮長で
野球部の監督をしとる
前先(マエセン)が、
ウチの寮にきよった。

なんやウチの寮長と話してる。

イヤな予感がする…



前先が出てきよった。

ワシの名前は〜…

呼ばれへん。

…良かった!!


ここで呼ばれたら、
野球部の件やさかいな。


水泳部が始まってから、
野球部の人数が減った。

残ってんのは、
マジメ君ばっかりやさかい
ドツかれへんねや。

ドツくヤツおらんから、
前先も
ストレスたまっとるらしぃ。
と、
六甲寮のヤツらが言うてた。


…ワシらは、
ストレス発散部隊かえ…



とにかく、
野球の件やなく
安心した。

ワシは倉庫に向かった。

いつもここでタバコ吸うんや。


ホッとした後のタバコって
なんかウマい。

味は変わらんのに、
気分的な問題やろな〜


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